わくわく公式派生作オタク

「原作では見られないオリジナルストーリー!」にわくわくが止まらない異端のオタク

【アニメジョジョ5部】「もしフーゴの奴に会えたら」に救われた人間の戯言

 2019年の6月21日の深夜。

 リアタイ視聴していたわけではないが、私はその時が来るのが嫌であった。

 とにかく嫌であった。めちゃめちゃ嫌であった。

 

 理由はただ一つ。

 推しが死ぬのである。

 

 推しが死ぬのである。

 

 

 

 

  推しの死ッ!それは原作で死亡するキャラを好きになった以上、アニメ新規勢にも避けられない運命である。

 いや、原作で死んだキャラがアニメでは生存というケースもあるにはあるらしいが、テレビアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』がそういった作品ではないということは、これまでのシリーズでわかりきっていた。

 この第5部「黄金の風でも、同じく主人公側のキャラクター・アバッキオが、原作通り命を落としたばかりだったではないか。

 

 私の推しのナランチャ・ギルガはこの回で死ぬ。それはどうしようもない確定事項だ。

 

 自分はアニメで初めて5部に入ったし、放送してる間は原作をその場面まで読まなかったけれど、悪癖によりネットで情報を得てしまっていた。

 

 更に、彼とフーゴはもうこれまで見たシリーズの中で一番好きまであるコンビだ。兄弟みたいですこ。年下のフーゴの方がお兄ちゃんみたいなのすこ。ほほえましい。なごむ。顔にフォーク刺すけど。

 しかし、こいつらはフーゴの離脱で別れたまま、二度と再会せずに片方が死ぬ。というか、ナランチャは離脱後フーゴに一言も触れないまま死ぬ。つらい。しんどい。

 

 推しの死と共に推しコンビの永遠の別れが襲ってきやがる。堪えられない。いや別れ自体は1クールくらい前にやったのだけれど、 もう既にあの時の哀しみがジワジワジワジワ増幅して効いてきてやがるッ……!

 

 

 頼む、第35話よ、来ないでくれ。

 

 次回からはなんか……なんかボスとの決着とか全然関係ない話がいきなり始まっててくれ。そう、例えば普通にフーゴアバッキオもいる状態で、よそのチームに新隊長が就任して学校にのじゃロリが転校してくるとか。とにかくそう願っていた。

 

 ネルちゃーーーん!!早く「大人の事情で続きはもう少し先になったッス」って言いに来てくれーーー!!

 

 

 言うまでもなく35話は来た。

 

 上述の通りリアタイはしていなかったので、翌朝Twitterを開かないで録画を見た。

 

「オ…オレ、故郷に帰ったら学校行くよ…」

 

 嗚呼、来てしまった、ジョジョ三大死亡フラグと言われてるとか言われてないとかいう台詞が……。

 

 しかしその直後、私は目を疑った。疑い過ぎて一時停止ボタンを押してしばらく呆然とした。

 

 フーゴの後ろ姿が映っていたからだ。

 

「そんで!もしフーゴの奴に会えたら、頭悪いってまた馬鹿にされるのも、結構いいかもな……」

 なんと、原作では「(学校で)他の奴に馬鹿にされるのも~」という台詞だったのが、アニメ版ではこうアレンジされていた!

 

 更にアレンジは続く。

アバッキオはいなくなっちまったけど…………トリッシュ!あんたは最後まで守り抜くぜ!オレたちが!」

 先に死んだアバッキオを思い出し、涙ぐむ。ナランチャが彼の死に号泣していたのを見せたからこそのシーンだ。

 だが泣くのをぐっとこらえ、トリッシュを励ます。過去の自分のように傷つけられた彼女のために、ブチャラティたちと共にボスと戦うことを決断できた。あの回でのアニメオリジナルの台詞「オレ、トリッシュを守りたい」を、しっかり拾っている。

 

 

 こうして考えると、ナランチャは本当に仲間想いの子だった……。

 「この世で一番大切なものは友情」と思っていた頃の友達は自分を裏切ったのに、その心は決して変わらなかったんだな……。

 

 

 ……その後、ナランチャは原作通り死んだ。

 

 あのクールなジョルノが劇中で初めて涙を流し、ミスタも号泣――そして、私は思わず再び一時停止してしまった。

 

 ナランチャと初めて出会い、彼を救ったレストラン前の路地を、たった独りで歩いているフーゴの後ろ姿。

 

 原作では、離脱後の姿は全く描かれなかった彼が……!

 

 その頭上を飛んで行く、小さな飛行機の影。

 「何か」に気づいたように、空を見上げる――――。

 

 

 フーゴは、果たしてナランチャの死に気づいたのだろうか。

 しかし、「何か」には気づいたのだろう。フーゴの方にははっきりとわからなかったとしても、ナランチャの想いが彼にもたらした「何か」……。

 

 ナランチャにとってフーゴは最期まで仲間だった。進む道が違っても決して変わらなかった。

 本当に再会することは決して叶わなかったが、それだけで、こいつらを好きな自分の心は救われた。

 

 

 そして、小さな飛行機の影はアバッキオの死に場所も訪れ、ツバメとなって空に消えていった…………。

 

 

 推しが死んだことはやっぱりどうしようもなく悲しくて、寂しくて、だけど同時にすごく満足してしまった。

 推しのために、こんなに美しいアニメオリジナルを見せてもらえるとは思わなかった。

 

 ストーリーは変わらない。だが、印象は変えられる。そんなスタッフたちの気概を感じるシーンだった。

 まるで、運命は変えられなくともその中であがき続ける、登場人物たちの生き様にリンクしているのではないか、とすら思えてくるから不思議だ。

 

 

 放送終了からしばらく経ったが、結局、自分のジョジョ5部への想いはこの一言に集約されていく。「この作品に出会えてよかった」と。

 

 

 あ、ちなみにフーゴのその後を描いた小説版で人気の高い『恥知らずのパープルヘイズ』は今読んでる途中なんですけど、その陰に隠れるか批判されてばかりの『ゴールデンハート/ゴールデンリング』は、実はナランチャは助けてくれたフーゴのこと慕ってたし別れるのつらかった…」という補完があるのでだからたまにはいいところやコニーリオちゃん本当に幸せになってほしいという話ももっとされろよ!!!って私が思ってることだけみなさん覚えて、今日は帰ってください。

(ゴールデンハートを黒歴史にしない会 会長より)