わくわく公式派生作オタク

「原作では見られないオリジナルストーリー!」にわくわくが止まらない異端のオタク

それでも「最高の最終回」を諦めないのがアニメブラクロの魔法なんだ

 3月30日にアニメ『ブラッククローバー』が最終回を迎えると発表された時、純粋に好きな長期アニメが終わるショックや寂しさもあったが、「このタイミングでか…」という気持ちが大きかった。

 新型コロナウイルスの影響による再放送とアニメオリジナルストーリーを挟み、ようやくスペード王国編のアニメ化に入ってからわずか1クールでの終了。

 ただでさえ原作のストーリーの途中でのアニメ版の終わらせ方は難しい。これは本当に仕方のない話なのだが、ちょうど区切りのいいところで終わらなければ「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドになりがちだ。

 ……というか何年も前、原作における第一章が終わるまでを放送したことで、自分の知ってる中ではかなりキレイに終われた原作付きアニメが「打ち切りみたい」とネットに書かれていて絶句した覚えがある。そりゃ、まだ回収できなかった謎や伏線はあったけどさあ……人の評価って、厳しいね……。

 しかも最終回の直前には味方側のキャラクター達が敵に捕まり、救出のためさらなる修行に挑む展開に。こ、ここで終わっちゃうのか。助けられたかどうかまで見せてくれないとこちとらスッキリできないじゃないか……

 

 しかし、実際に最終回を観た後、私はこのようなことを考えていた自分が恥ずかしいとすら思った。

ページ170 ハルカミライ

ページ170 ハルカミライ

  • メディア: Prime Video
 

 

 リーベと戦い、反魔法を封じられながらも攻撃をかわし圧倒していくアスタの姿にキアトとヤミが重なる。

お前が戦っているのはただの魔法が使えないヤツじゃない…たくさんの猛者と戦ってきた魔法が使えないヤツだ!!!!

 叫ぶ彼の後ろに、二人に加えてマルス・リヒト・ファンゼルも見える。ここは原作通りだ。

 アニメではリーベの操る三本の大剣を、ヤミの日本刀一本でいなしなぎ払っていくアスタの動きに、マルス・リヒト・ファンゼルも一人ずつ重なっていく。ヤミも、書くまでもなく本物は囚われの身だが、アスタの心に刻まれた彼の存在が語りかけてくれる。お前の限界はまだそんなところじゃないだろうと。で、ここのアクションシーンも最後だけあってかなりカッコいいのだ。

 そしてナレーションに語られたアスタが様々な魔導剣士達を見てきたこと、彼らに近づけるように鍛え続けてきたことは、アニメではこれまでの出会いと戦いを振り返る彼自身の言葉となった。それは視聴者に、三年半かけてこの物語を追いかけてきた感慨深さを呼び起こさせる。アスタは「誰一人、絶対に忘れない!」と力強く言い放ち、視聴者のアニメブラクロへの想いとシンクロする。

 

 本当に熱いシーンだ……その熱さに一役買ったのが、挿入歌『ハルカミライ last page ver.』。サブタイトルからして感覚ピエロによる初代オープニング『ハルカミライ』が使われるのは想像していたが、なんとこの最終回のための特別版を書き下ろしてくれていた!

<ブラッククローバー>テレビアニメ最終回 感覚ピエロ「ハルカミライ last page ver.」書き下ろし アフレコ写真も公開(MANTANWEB) - Yahoo!ニュース

 上の記事の中で、以前から盛り上がるシーンには『ハルカミライ』が流されていたことについて「バンド冥利に尽きます」とコメントが寄せられているが、こちらこそファン冥利に尽きる。ありがとうございます。

 

 そして、アスタはリーベを従わせるのではなく、友達になることを選ぶ。悪魔のリーベもまた、アスタの経験した大切な出会いの中に入っている。さらにそれは、Aパートで描かれたアスタの母・リチタとリーベとの出会い、人間と悪魔の壁を超えた親子愛からつながっている。

 

 アスタはナハトの下で修行を続け、ユノやノエル達も強くなって仲間を取り戻そうとする。我に返ってみれば、リーベとの友魔の儀という山場はあったものの、ストーリー的に半端なタイミングで放送が終わってしまったのは変わらない。にも関わらず、視聴後の私は満足感に包まれていた。 

 「俺たちの戦いはこれからだ!」は打ち切りエンドの代名詞として扱われているが、一度頭からイメージを取り去ってこの言葉を味わってみると、なんて未来への活力にあふれているんだろうとすら思えるのは私だけだろうか?過去から現在から、未来へ。理不尽な世界の中で、それでもアスタ達はこれからも前を向いて戦い続けるのだ。

 

 途中で終わってしまうことは変わらなくとも、これまでの集大成を惜しむことなく表現することで、印象は変えられた。以前書いた、アニメ版ジョジョ5部のアレンジによって「ナランチャフーゴと再会しないまま死ぬ」事実は原作通りのまま変わらなかったが、印象は切なくも救いを感じるように変わったことを思い出す。

hijikidays2.hatenablog.com

 

 観ている間、私はスタッフやキャストの皆さんに魔法をかけられていたのだ。最高の最終回を作ることを「諦めない」魔法に。

 

 放送終了直前、めでたく映画化が発表された。鬼滅やエヴァが大ヒットしつつも公開延期の話が絶えないこの時世だが、劇場版も第二期も楽しみに待っていたい。

 今度は私達が、また動くアスタ達に会えるのを「諦めない」魔法を使う番なのだから。

 

 

hijikidays2.hatenablog.com

 この記事の追記でも最終回について書きました