わくわく公式派生作オタク

「原作では見られないオリジナルストーリー!」にわくわくが止まらない異端のオタク

【アニメ忘バ】原作で読んだ話を私が忘却したのかと思ったらアニオリだった

 昨年、私が元々応援していた大好きな漫画が、満を持してアニメ化した。『忘却バッテリー』である。

 有難いことに、既に第二期も決まっている。

 

 例によって、このブログで語るのはアニメオリジナルパートだ。

 帝徳に敗北した後の第5話のBパートと、藤堂のイップスを克服しようと奮闘する第7話の一部である。

 

 …正直、最初に見た時は、前回感想を書いた令和版るろ剣と同様に思った。

hijikidays2.hatenablog.com

「これって、本当に原作に無い…無いよね??」と。

 

 原作を真面目に追っててもアニメ版を見てこうなっちゃうこと、あるんだ…本当に…。

 まあ、少なくとも5話の方は原作者・みかわ先生がネームを書いたそうなので、当然と言えば当然かもしれない。

 

 7話のメインである藤堂葵くんは、他作品でも私にとって非常に思い入れの強いキャラクターを演じる阿座上洋平さんの役だし、はりきって書くぞ!

 あ、ちなみに「喧嘩するほど仲が良い」な二遊間コンビの相方・千早瞬平くんを演じるのは島﨑信長さんです。剣士同士ですね。(何のことやら。)

 

 第5話Bパートは、帝徳戦で一時的に葉流火のボールを捕れなくなった圭の特訓を描く。

 だが、導入はあくまで『忘バ』らしいコメディなのがいい。

 

「球を捕れないキャッチャーはう〇こだ」「俺ってう〇こなワケ!?」「う〇こですよー」「こっちくんなう〇こぉー」

 ひたすらう〇こう〇こ言いまくる、良い顔と良い声のDK達。小学生の休み時間か?

 

 しかし、その後圭は葉流火に秘密で特訓を頑張る。あごはかゆいけど。

 だが、練習を繰り返してもそれまで通り捕れるようにはならず…

「頑張っても出来ないとかさ、俺、マジ価値ないじゃん」

 あの明るい「恥」将の圭ちゃんが、本気で落ち込んでこうこぼすのが悲しい…

 それに…これは中学時代、藤堂と千早の脳裏にも幾度もよぎった言葉ではないだろうか。

 

「(葉流ちゃんは)帝徳に行った方がいいよね。俺より上手いキャッチャー、いっぱいいる…」

 いつもは、やかましくスベりギャグ(パイ毛とかパイ毛とか)をかましている圭の声に、本当に覇気がない…。

 

 しかし、二人はそれを思いっきり笑い飛ばす。

 ここで、原作にあった「藤堂と千早に、圭と野球をやるために小手指に残ると話す葉流火」のシーンを回想として出し、二人から圭に明かして奮起させようとするアニメオリジナルの流れに持っていくのが、非常に上手い!

 照れて素直に喜べない圭を二遊間でからかうのも微笑ましい。ずっとわちゃわちゃしろ。

 

 捕球のイップスを克服した圭に、藤堂はあくまで軽口のように言う。

「良かったな!すぐ治って。ああいうの、ドツボにハマるとスゲー時間かかんだぜ」

 書くまでもなく、この後語られる藤堂自身のイップスの前振りとなる言葉。

 

 見返してみると、このシーンの前にも藤堂はいくつもハッとなる事をしている。

 特訓を辞めようとする圭を引き留めたり、「気持ちの問題でしかねえよ」とアドバイスを送るなど…。

 更に、圭はそのアドバイスから、イップスの困難さを実感している。「気持ちだけで、今まで平気だった事が出来なくなるんだ」と。

 それでも「気持ちの問題」と言い聞かせて、圭は克服できた。

 

 いかにも一件落着、という雰囲気で終わっていく中で…

 藤堂の目はまるで遠くを、自分にはとてもまぶしいものを見るかのようだ…。それが、とても切ない余韻を残す。

 顔は確かに笑っているのに、哀しさすら感じる。

 

 しかし、ヤマの「これからも、みんなで乗り越えていきたい」という言葉が和らげてくれる。

 藤堂がワンバン送球を会得できたのには、彼の協力も非常に大きかったのを、原作既読の視聴者に思い出させた。

 

 

 藤堂の過去を描いた6話を挟み…(これは原作通りなんだけど、綺麗な作画と阿座上さんの熱演が合わさってマジで辛い)、続く7話について。

 

 藤堂からイップスを打ち明けられ、圭は「…イップスって何?」とTHE素人な発言をしつつ、この前自分も捕球できなくなった事だと聞き、「じゃ、またみんなで特訓すればいーじゃん」とあくまで前向き。

 しかし藤堂は、自分のイップスは圭のようには治らないと言い、今日は帰るよう促す。

 

 そんな彼に、圭は衝撃の言葉を言い放つ…

イップスマウントっすか…!?」

イップスマウントとは…?

 

「俺の方がイップスレベルが高いと、イップス風を吹かせているワケですね!?」

「先輩風みてえに言うな!!」

「ヤァ↑ナカンジッスネェ~ッ↑!葵ちゃんは俺には『気持ちの問題(キリッ)』と言ってくれたくせに、自分の時はやりもせずに逃げるんすか!!」「俺だってそれなりのイップス人…言わば、イップサーっすよ!!」

 風っつーか…嵐!「恥」将台風到来かなってくらいのアホのトーク…!(それでも、言って『くれた』という言い方してるのがいい)

 前回からの重量を軽くしてくれた上に、いい感じに5話Bから繋げたなこいつ!

 

「もうわかった!やるっつの!」と半ば勢いだが言質を引き出し、藤堂を再挑戦に向かわせた圭ちゃん達。

 藤堂のお姉さんと妹ちゃんも、良い意味でイップスを深刻に捉えすぎない仲間ができた彼を見て、安心したようで何よりだ。

 

 いいねえ…。アニメでは、圭が藤堂にワンバン送球を提案した事が、自身のイップス克服での借りを返した構図にも見えるのがまたエモい!!

 

 

 以降は、原作とアニオリを入れ混ぜて藤堂の送球練習が描かれる。

 

 ていうかさあ今まで書いてきたシーンでも思ったけどさ、マモの圭ちゃんってサイコーじゃないっ!?最ッッッッ高のはまり役だし、とにかくカワイイ。

「次はランナー走ります!」←いや可愛すぎか?????

 藤堂くんを気遣って必死に「アウト、アウトー!!」って叫びながら、手は思いっきりセーフになってるとこもいいw

 

 プレッシャーの権化こと葉流ちゃんが全力で走ってしまったので、よく見ると後ろでまた圭ちゃんに叱られているのも地味に好き(というか、この感想書くために見直して初めて気づいた…)

 あと、鈴木さん佐藤さんの「大変だったねー」「難しいねー」もかわいい。

 

 最後は千早くんがランナーになり、遠慮なくぶつかる二遊間。ここ作画もカッコイイんだよなあ。

 

 こうして、原作より詳細に描かれたワンバン送球の特訓。もちろん、すぐに100%上手くはいかない。

 仰向けに倒れて、それでも空を見上げて、藤堂は思う。

「俺、マジで前に進めるんだ。進んでいいんだ」

うわあ~~~~~ッ!!!!良い!!!!!!

 

 すっごいわかる…いや、私なんかを藤堂くんの苦悩や自責の念と一緒に並べちゃいけないんだけど…!!

 

 

原作にもあったけどどーしても語りたいほど好きなとこ↓

 やっぱりさ…ワンバン送球練習におけるヤマちゃん、あまりにもGJ過ぎない…!?

 

 モノローグで、藤堂を通しイップスの苦しさを我々に語り、「僕なら、きっとワンバンに挑戦できない」と思っていたヤマちゃんが、である。

 必死に乗り越えようとするほど追い込まれていき、希望を提示されるのも恐ろしいのだと語ったヤマちゃんが…。

 

 藤堂の前では「今度は僕に受けさせてくれないかな?よろしくー!」って和やかに言いながら、心の声では(絶対に捕る!!)&背中で手をグッッと握ってんのかっこよすぎる…。

 

 最推しは圭ちゃんなんだけど、時折無性に(ヤマちゃんのかっこよさを知っているのは私だけでいい…)って後方腕組みしたくなる時あるんだよね…

  まあ私がどう思ってようがみんな知ってるよな!!千早くんもべた褒めしてくれてるし!

 

 

 葉流ちゃんの「努力が足りないんじゃないか?」は、藤堂に感情移入して聞くとうおっっっっきつっっっっ!!??とビックリしてしまうが、ヤマちゃんが解説する通り、ただ100%純粋に思った事をそのまま出力しただけなのである…

(なので、圭に叱られたら理由がわからなくても素直に聞く)

 でもだからこそ、「ショートは藤堂だろ。代える気無いから」もまた100%純粋に思って言っているのだとわかる。

 

 自分に見切りをつけた中学時代の周囲の大人達に対し、できるまで練習に付き合い続け、自分を信じてくれる今の仲間達……。

 小手指に来てよかったね藤堂くん…っ!!

 

 

 そして…あの、バッティングセンターでの名場面……。

 ここでは深く書かない。「見てくれ」としか言えない。

 ただ、原作で読んだ時に思ったことが、アニメでより強くなった。

 

 こんな…こんな美しい場面が世の中にあって、本当にいいのか…!!(※たぶんこの十年で100回くらいありとあらゆる作品に言ってると思う

 

 

 色々と、見ていてこちらも心が砕ける予感はたくさんしつつ、それでもアニメ版『忘却バッテリー』がこの調子でもっと続いていくのを、楽しみにしていたい。

 早く二期みたいよ~~~~!!