本記事は、2019年2月(アニメ5部放送中)に「Privatter」で書いた感想に一部修正を加え、こちらに再掲したものです。
Privatter版はこちら↓(ほぼ同じ内容ですが)
最初のシリーズから追ってきたアニメジョジョだが、現在放送中の『黄金の風』もメチャクチャ楽しい。ナランチャ推しです。
アニメオリジナルシーンもまた見所なんだけど、特に12話で描かれたブチャラティとフーゴの出会いが異様に好きで、何度も見返してしまう。何でこんなに好きなのか、自分でも不思議である。
タイトルの通り自分はアニメ新規勢なので、大抵は原作ファンの人の反応や後から原作を読むことで「あれってアニオリだったのか!」と知る。
しかし私のサガというべきか、ネットである程度の原作のネタバレは調べてしまい、その一つが「フーゴの過去は、原作ではイルーゾォに語られただけで回想シーンがない」という情報であった。
なので12話Bパートでフーゴの過去が描かれ始めた瞬間、「あっこれアニオリだな…」と察したのだった。
で、問題の(?)ブチャラティとフーゴが出会うシーンであるが。
リストランテで無銭飲食しておきながら緊急避難として認められる可能性がどうこうと正当化するフーゴに出会い、ブチャラティさんは開口一番この一言。
「面白いじゃあないか」
えっもうこれだけで超面白くない…?
「お前面白い奴だな…オレの仲間になれ」ってやつじゃん。カリスマ系イケメンキャラがよく言うとか噂されてるアレじゃん。
何がずるいって、ジョジョアニメでいつも耳に残る「〜じゃあない」って言い方と、「お前面白い奴だな…」が悪魔合体してるのがずるい。
そのくせ椅子の背もたれに肘を置いて振り向く姿が妙にかっこいいのが、最高にじわじわくる。
しかし、「お前面白いな!」ってミスタも言ってたよね。あれは原作にもあるセリフだったけど。
イケメンが会ったばかりの主人公に「お前面白いな!」と言った理由が、「主人公がお茶と称して出されたションベンを一気飲みしたから」なんてアニメはジョジョだけだと思います(飲んではないけど)。むしろ他にあったら困るわ。
でもそういうミスタも、「珍しい人だ」@ジョルノだの「変わった奴だな」@ブチャラティだの、「お前面白いな」の亜種みたいなことばっか言われてるな…。
「とまあ、ぼくの身の上話はこんなもんです…同情とかはやめてくださいよ、別に不幸だとか思ってませんし」
「そうか…しかし、うん、これは運命のめぐり合わせだと感じる」
運命!!!!やだこの人一通り話聞いたら運命とか言い始めた…センチメンタリズムな運命を感じずにはいられなかったの??
まあ、ちょうど自分のチームを持ちたいと考え始めた頃に、フーゴと出会ったことを言ってるんだけど、そこで「運命のめぐり合わせ」という言葉を恥ずかしげもなくチョイスできるのがすごいなブチャラティは。
(ところで、虚勢だとしてもだいたい自分が被害者なのに「別に不幸だとか思ってない」と言えるフーゴくんも、すごくない?)
などと思っていたが、ミスタの過去でも「運命」という言葉が印象的に使われているあたり、これは5部の命題のようなものなのかもしれない。(追記・命題のようなものかもしれないじゃなくて、命題でした。)
あれ?もしかして、これストーリーを最後まで知ってたらめちゃくちゃ深い台詞なんじゃないの?(追記・めちゃくちゃ深い台詞でした。)わたし、声優ネタなんか書いて草はやしてる場合じゃないのでは??(追記・草はやしてる場合じゃありませんでした。)
まあアニメの放送が終わってから見返してまた考えてみようかと思います。
(ところでミスタの過去も、ブチャラティが4枚注文しようとしてたけど5枚に変えたのを聞いて入団するって言ったミスタとか、初対面のミスタへの警戒心バリバリなナランチャの表情とか、大好き。
「おれのチームに入らないか?パンナコッタ・フーゴ。お前の知識と知性が欲しい」
「ブチャラティさん…でしたか。ギャングになるのも悪くはなさそうですが、ぼくはもう決めたんです。誰とも関わらず一人で生きていくと」
「ほう、何故だ?」
(ほうって言ったぞこの人…)
「話したでしょう?ぼくはカッとなると恐ろしいことをしでかしてしまう…あなたの仲間になったとして、そのあなたさえ殺しかねないんです」
「なら…本当にそうなるか試してみよう。おれと共に来い、フーゴ。おれがお前を活かしてやる。その獰猛な、怒りの衝動も含めてな」
かっっっっこい!!!
この良い笑顔でフーゴに手を差し伸べる姿、「乙女ゲーのスチルで見た」感がすさまじい。乙女ゲーあんまりやったことないのに。
いや〜〜なんかもう…これは落ちるわ…。実際大川さん(ナレーション)が「その言葉はフーゴの心を動かした」って断言してくださっているし…。
17歳ぐらいで既に相手の心の掴み方を心得ていたのかもしれないし、部下や町の人に慕われるのはその優しさや漢気とかもあるけど、天然の人タラシみたいなところもあるのかもなあと。
老若男女問わず好かれてそうだもんな。わいもブチャラティさんしゅきい…。
あとブチャラティの歴代声優はみんな好きなんですけど、自分は近年CV櫻井孝宏依存症にかかっているため、もし櫻井ボイスで「おれがお前を活かしてやる、獰猛な怒りの衝動も含めてな」なんて言われていたら間違いなくちょっと大変なことになっていた(私も相当キレやすいため)。
ゆうきゃんが程よくイケボで言ってくれていて本当によかった。のんたんもしゅきだょ
そんな私の4部の推しは、ええ、もちろん露伴先生です。でも本当は仗助が一番好きなのは秘密
しかし真面目に考えると、周囲の大人に裏切られて傷ついていたフーゴの印象に相当残ったんでしょうね。
ジョルノに敬意を表する時、この時のブチャラティと重ねていたくらいだから。
Abema TVでやってたオーディオコメンタリーで、フーゴ役の榎木淳弥さんが「フーゴは人を信じられなくなっていたけど、ブチャラティがまっすぐに自分を求めてくれたので、それに応えたいと思ったのかな」というようなことを仰ってて、素晴らしい解釈だと思ったので、私の中のイメージもそんな感じ。
(このアニメオリジナルシーンについては、メインキャラはそれぞれハードな過去を持つがフーゴの場合は「大人からの性関係の強要」だったというアイディアがどこから生まれたのかも知りたいですし、スタッフの方の声も是非聞きたいのですが、アニメ雑誌あたりに載ってたりしないかなあ…
(追記・円盤購入者、イベント来場者の方からの又聞きですが、原作者・荒木飛呂彦先生のアイディアだそうです)
そいで、その後の時間軸でのフーゴとこの過去がきっちり繋がってるのが、めちゃくちゃにエモいところで。
残飯を漁っていたナランチャを、フーゴがこいつにスパゲティを食わしてやりたいんですがかまいませんね!!したのは、やっぱりあの頃の、ブチャラティと出会うまで盗みで食いつないでいた自分と似ていたからだと思うんですよ。
だからチームの仲間になってからも、ナランチャの面倒を見てるんじゃないかな。フォークは刺すけど。
アニメだと二人の絡みが増えてるしね。ペリーコロさんへの態度を叱るところも、ナランチャを心配しすぎて明らかにヤバい目で手を掻いてるとこも好き。
特に後者の場面は、あの冷静なジョルノがフーゴの様子に若干困惑してるとか、対してアバッキオは諌めつつこいつのこういうとこは仕方ないと半ば諦めの境地っぽいとか、周囲の反応も面白い。
遺跡に行く時といい、アバッキオはフーゴの扱いに慣れているのかな…また話が脇に。
ナランチャとフーゴのコンビが大好きなんで、フーゴの過去を通して二人の関係性の源泉が見えたようなところが心底好きですね。フォークは刺すけど。
あと前述の通り、アニメのフーゴはポンペイ遺跡編の最後で、ジョルノに自分を救ってくれたブチャラティを重ねるんですが。そこに至るまで、ジョルノに嫉妬していたというのがいいんです。
私はもう、アニメディア12月号のインタビューで
フーゴは本来の参謀ポジションを、ジョルノが入団したことで奪われつつあるという側面がありますね。今後フーゴがジョルノに食ってかかるシーンがたびたびありますが、そのあたりにジョルノに対する複雑な思いが垣間見えてくると思います。
と髙橋秀弥監督が仰っていた時から、しぬほど楽しみだったんです。ええ!!大好物ですね主人公に嫉妬する味方!!*1
まあいざ本編でフーゴくんが「参謀にでもなったつもりか?」と言い出したり、ジョルノくんのポンコツナビゲートにブチ切れた時は、(よ、予想してたよりだいぶ直球な表現だっ!!)と思ったが、
「言葉で表現するものではない、真実の信頼がこいつにはある…あの時のブチャラティのように!」
からのキッと姿勢をただしたフーゴの
「ジョルノッ!お前の命がけの行動ッ!ぼくは敬意を表するッ!」
への繋げ方は、私の期待を超えてきてちょっと感激しちゃったよね。
やっぱり、物語の展開として当たり前なんだけど、みんなの過去で見せたことは、現在の時間軸で見せてることに繋がっていて。
ジョルノの過去は、憧れのギャングと同じく(まあ、そこもアニオリなんですが)麻薬を憎むブチャラティを仲間と見込んだことに繋がり、ナランチャの過去は「男っていうのはああいう人のために働くものだ」と感じたブチャラティの命令を遂行するため、なんとしてもホルマジオを倒すことに繋がるように、フーゴの過去は、ブチャラティの存在を通したジョルノとの和解に繋がるんすよ…。最高ではないだろうか?
ただ原作になかったフーゴの回想を入れるだけでなく、現在への繋がりもきっちり用意しておく。
5部アニメのそんなところが、私は大好きなのだ。
とかなんとか好きに書いてきたが、
・ブチャラティがカリスマ系イケメンキャラのテンプレみたいな台詞を大真面目に言う可笑しさ
・だが、そんな台詞を大真面目に言ってもサマになってしまうブチャラティのかっこよさ
・この時フーゴがブチャラティに救われたことが、後にナランチャを助けることやジョルノを認めることにつながっていく熱さ
大体この三つが、このシーンを好きな理由なのだと思う。
…しかし。しかしである。
このシーンには一つ違和感がある(その違和感もまた可笑しさ=好きな理由に繋がっているとも言えるのだが)。
それは私の知っている原作ファンの方も指摘していることだが、ナランチャが仲間になろうとした時はギャングの世界の陰惨ぶりからか拒絶しておきながら、彼より年下のフーゴは自分から勧誘したブチャラティである。(それもあんなイケメンムーブで)
その理由はなんなのか?恐らく、ナランチャと違ってフーゴはカタギの世界で生きていくのは難しいとブチャラティは判断したのだろうが…ならばその基準は何か?
他のファンの皆さんの声も参考にしつつ、私も色々考えているが…。
正直まだ原作をメローネ登場までしか読んでおらず、また本編終了後の物語でありフーゴが主役の小説『恥知らずのパープルヘイズ』も読んでいない私に、原作ファンの方と同じ土俵でブチャラティとフーゴに関するまともな考察が組み立てられるかといえば、絶対にNOであろう。
なのであくまで冗談半分に読んでほしいわいの推察は、
・フーゴは既に親から勘当されて帰りようがない。ナランチャは父との関係は冷え切っていたものの家に戻ることはできた。
とか
・残飯食ってる目が病気の子供と、大人に掴みかかられながら平然と裁判の判例がどうのとか言ってる食い逃げ犯の子供だったら後者の方がたぶんヤバい
とかそんな感じ…である。
(追記・『恥パ』読書中の今は、アニメでは辞書滅多打ちに至った理由は異なるものの、こちらのブチャラティもフーゴに対し「殺人を犯した自分と同様、更生の余地がない」と判断したのではないかと私は考える
……ていうか息を吸うように『ゴールデンハート/ゴールデンリング』をスルーする過去の自分、割と腹立ってくるな……。)
でも私はやっぱりこのシーンが好き(おわり)
最後に、別に関係ないんですが4部の好きなアニオリは、ハイウェイスター戦の後編の最後あたりで仗助が露伴を治した後の
露伴「東方…仗助…」
仗助「あ、あのよぉー露伴先生……色々あったけど、オレはその……」
露伴「なぜぼくを治した?」
仗助「……えっ?」
露伴「余計な真似を…きさまに助けられるくらいなら、死んだ方がマシだ!」仗助「…………!」
露伴「だいたい逃げろと言ったのに、みすみす敵の罠に踏み込んでくるとは、この大馬鹿が!」
仗助「んな~っ!」
露伴「言っとくが貸し借りはなしだからな!」
承太郎「(登場はしたが特に台詞はない)」
ってとこです。大好き。
*1:人の心がない。