こんにちはみなさん。劇場版ヒロアカ第三作の公開から一ヶ月が過ぎましたが、私はワクチン接種を二回済ませたのに同居家族からOKが出ないので映画館に行けません。
かなしいぜ…(´;ω;`)
そんな心を慰めるかのように(前も書いた)Huluが第二作「ヒーローズ:ライジング」を見放題配信してくれている。嗚呼、半年もしないうちに社会が様変わりしてしまうなんて夢にも思わなかった、2019年12月。既に懐かしい……。
なお、この記事では映画第二作と原作31巻収録分の重要なネタバレをしているので、まだチェックしていない人は読まない方がいいです。
公開前、ファンならずーっとずーっと気になってたことがあると思うんですよ。それは、映画に関わった原作者の堀越先生が「本作はヒロアカの最終回とも言える。原作の最終決戦でやりたかったネタを使っている」と仰ってたこと。
「ヒロアカ」劇場版は「ヒーローズ:ライジング」、堀越耕平「最終回とも言えます」(コメントあり) - コミックナタリーnatalie.mu
今見ると「第三弾はないでしょう。多分。」がちょっと笑えるが…
果たして一体どのような内容なのだろうか!?ワクワクドキドキからのハラハラしながら観に行った冬。
序盤は実習先の島の人々を助けながら交流していく1Aメンバー、特にデクと真幌ちゃん・活真くん姉弟に癒される。いや〜ほのぼのする……。
ていうか、ごはんが美味しくて満面の笑顔になったり、活真くんにちゃんと謝りに来てえらいね!ってゆったり、デクくんマジ天使ポイントが高すぎる……。
だが、例によってヴィラン達が島を襲い、1Aは人々を守るために全力で戦う。
特典冊子のインタビューで、堀越先生が「脚本を読んでいて普通にがんばって普通に倒れる絵が浮かんでしまったので、もっと必死にがんばるように修正をお願いした」と仰ってた通り、お茶子ちゃんは吐いても、青山くんは漏らしてもがんばる……!みんながんばってえらい(泣きそう)。
仲間を傷つけられて常闇くんが黒影を暴走させるシーンがあったのもすごい好きです。
しかし、仲間が次々と倒れていく中、今回の劇場版ボス・ナインにだけはどうしても勝つことができない。彼は気象操作にバリア、衝撃波、龍のような使い魔と、チート級の個性を複数持つかなり厄介なヴィラン。「奥の手」を使わざるを得ないと納得させるだけの強さだ。
このままではナインに、ヒーローを夢見る活真くんの個性を奪われてしまう……そこでついに出てきた「原作の最終決戦でやりたかったネタ」に、私は完全に度肝を抜かれてしまった。
デクの考えた唯一の、ナインに勝利しみんなを救う方法……それはなんと、爆豪にワン・フォー・オールを継承させることであった。
そう、オールマイトとデクが共闘した前作のクライマックスに対し、今作はデクと爆豪が二人のワン・フォー・オールで敵に立ち向かうのだ。
継承のシーンでどうしても『ふたりはプリキュア』を思い出してしまったんだよな。配信で見直したらWデトロイトスマッシュもプリキュアの決め技感すごかった…デクくんとかっちゃんはプリキュアだった…?ぷいきゅあ〜!がんばえ〜!
そして、ようやくナインを撃破できたが、その代償にデクの中の力の灯火は消えてしまった……。
「さよなら……ワン・フォー・オール……ありがとう……」
デクが目覚めると、ようやくプロヒーローが救援に駆けつけたところであり、そばにはオールマイトが。そして爆豪へ継承したことを明かす。
「後悔、してません……。でも、ごめんなさい……せっかく後継者に選んでくれたのに……ヒーローになれるって言ってくれたのに……、でも僕はどうしてもみんなを守りたくて……!」
「緑谷少年……私は、君に力を渡したことを、微塵も後悔していない。君は正しく使ったのだ。紡がれてきた義勇の力を……」
こうしてデクは、ナインを倒し人々と仲間を守ることと引き換えに、無個性に戻りヒーローへの道を絶たれたのだった……
そう、それが原作及びテレビアニメから分岐した、この劇場版だけのifルートでの、緑谷出久の物語の結末……。
と客席で私は思っていたのだが。
オールマイトは、デクの体にワン・フォー・オールの光が宿っていることに気づいた。まだ力は残っている!対して、爆豪にはもうその力はない。
完全に継承が為される前に、爆豪少年が気絶したから……いや、これは先代達の意志が起こしてくれた奇跡だったのだと。
そうかー、よかったねデクくん、先代の意志が……いや待てそんなんある!!!???
その時不思議なことが起こった!なの!!!???それでええんか!!!???
いや、デクくんが力を失うこともなく、これからもヒーローを目指せるのは間違いなく良いことなのだが……!!
しかし!そしたらかっちゃんへの継承を決断したデクくんの覚悟は……?まあ、その覚悟があったからこそ先代がそれに応えたのだろう……というのはわかるが!わかるがと言いたくなりながらも、「この落とし所しかない」というのも、わかる……!!
ああーそれならもっと最後の戦闘シーンに集中してればよかった。とんでもねえ燃え展開であったが、この後のデクくんの運命を思うとあまりに切なくなってしまって(音楽も悲しかったし)、劇場ではとにかくすんごい神作画だったこととデクくんとかっちゃんがめちゃくちゃ光ってめちゃくちゃ回ってナインを倒したことしか覚えてない。もっと雑念を振り払って見ていれば……回ればなんとかなる!
いや……すげえもんぶち込んできたな堀越先生!!
マジで、この劇場版の世界線での緑谷出久のヒーローを目指す物語はここで終わるんだろうと思いました。当時連載中だった原作とは全く違う形で完結したアニメがきっかけでオタクになった人間なんで、自分は。そういうこともあるのかなって……。
などと思っていたが……まさか公開から一年半近く経って、爆豪がワン・フォー・オールを継承しなかったもう一つの理由が、原作で明らかになるとは……。
元々個性を持っていた人間が受け継ぐと、ワン・フォー・オールの強大な力に寿命を削られてしまう。そのことが判明した以上、継承者は無個性でなければならず、しかし今や無個性の人間は絶滅危惧種同然なので、おそらくデクが最後の継承者だというのだ。
なるほど、あの継承が不完全なものとして終わったのは、デクだけでなく爆豪のためでもあったのだろう。一気に納得度が上がってよかった。
本作の好きなシーンはたくさんあるが、やはり何度見ても一番好きだなと思うのは、ラストの姉弟との別れだ。
「活真くん!君は、君はヒーローになれる!!」
以前、第一作の感想で私はこう書いたが……
副題の『二人の英雄』は、原作では実現しなかったオールマイト・デクの師弟共闘を指しているのかもしれないが、同時にオールマイトとデイヴという『二人の英雄』から、次世代のデクとメリッサが希望を受け継いでいく意味にもとれる。
ヒロアカの物語のはじまりである、オールマイトからデクへの『ヒーロー』の継承を改めて描く劇場版として、非常によくできているのだ。
前作では「受け継ぐ側」であることを強調されていたデクの、一時的とはいえ力を爆豪に、そして夢を活真に「受け継がせる側」としての物語が『ヒーローズ:ライジング』なのだなと思う。
これもまた、第一作からのPlus Ultraと言えるだろう。
そして緑谷出久の、たとえ本当に力を失っていても同じ笑顔で活真にあの言葉をかけたんだろうなと心から確信できるところに、私は涙が出るほどの尊さを感じている。